美術修復修行中。


by jaimeleschiens
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<   2006年 05月 ( 3 )   > この月の画像一覧

利き手

今日の最初の仕事は、
焼き上がった昨日のガラス片のうちの、衣服の部分にあたる五枚に、
襞の影になる太めの線を施していく作業でした。
基本的には、昨日の線引きと同じですが、
今回は、さらに太めに、さらに濃いめに、ひと筆書きです。

今日も縦からスーッと、やってもやっても、
ぶれちゃったり、曲がっちゃったり、
全然ダメでした。
え〜い、じゃ、反対の手で!
と、右から左に持ち替えて、勢いで一本引いてみたら、

あれ?うまくいくじゃん!

試しにもう一本。
あれ?またうまくいった。

あっという間に、全部引き切ってしまいました。

やっぱり、左利きなのか。
...ん十年生きてきて、いまさらですが。

小さい頃から、歯を磨くのと、消しゴムを消すのは、左。
ボール投げも、左のほうが遠くまで飛ぶんですね。
(って、たいして飛びませんが。)
昨年一度だけバスケボールでドリブルをすることがあって、
右手でやったら、ボールがどっかへ行ってしまった...。
でも、左手で、あっちまで行けて、こっちまで帰ってこられた。

腕組みするときは、右手が前になることが多いですね。
たまに左が前になっていることもあるんですが。

どうなんでしょう?

そういえば、ガラスカットやハサミや筆は右ですが、
ガラスの絵付けのときに、
ガラスの表面から少しずつ顔料を落として濃淡をつける作業など、
微妙さが要求される時は、左手が頑張っているような気がします。

まあ、どちらの手でも、そのときに使い易いほうを上手に使って、
結果が良ければそれでよろしい。

さて、そのあと、
なんと私も、シャルトルのパネル調査の仲間入りです。

パネルごとに縮小図を4枚用意し、四つの観点で調べていきます。

1. 12世紀当時の鉛線をトレースし、鉛線の幅が8ミリ以上のもの、7ミリのもの、6ミリ以下のものに色別する。

2. すでに修復が施されている箇所のつなぎ目の鉛線をトレースし、1. と同様に色別する。

3. 割れた状態のガラス片の割れ目をトレースし、ガラスの損失している部分を塗りつぶす。

4. 鉛線が劣化で切断されている部分に印をする。

職人さん達は、こういう作業に馴れているので、どんどん進んでいきますが、
私は、ずいぶん前に一度、練習でやったことがあるきりなので、
一枚のパネルに午後いっぱいかかってしまいました。

でも、こういう調査は、大好きです。
私のパネルは、少なくとも過去に2回、修復作業が施されていることがわかりました。
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by jaimeleschiens | 2006-05-31 22:20 | 平日
今日から、ここのアトリエの職人達は、
普段のステンドグラス修復の仕事に加えて、
シャルトル大聖堂のステンドグラス調査開始です。

シャルトル大聖堂を訪れたことのある方は、教会の身廊をゆっくり歩きながら青いステンドグラス窓を眺めているうちに、ところどころ、ベニヤで覆われて真っ暗になっている窓に気付かれたと思います。

その窓は、諸事情でステンドグラスが取り外され、代わりに、風雨を防ぐために窓一面をベニヤで覆ってしまったものなのですが、私のお世話になっているこのアトリエも、シャルトル大聖堂のステンドグラス修復事業に参加していて、昨年10月、教会内陣の、長さがおよそ縦12.5メートル×横2.2メートルの窓から、全部で51枚のパネルを取り外し、代わりに51枚のベニヤを貼って、またひとつ真っ暗な窓を増やしてきたのでした。

ちなみに、ステンドグラスの窓は、けっして巨大な一続きのガラス窓なのではなくて、両手で持てるくらいの大きさに作られたステンドグラスが何枚も組み合わさって、一つの窓が形成されています。

その、一枚一枚のステンドグラスを「パネル」と呼んでいます。
フランス語では「panneau パノー」と言います。

下の写真は、10月のパネル取り外し作業の時に撮影したもの。
ステンドグラス窓の外側は、こんな風になっています。
b0108483_4124635.jpg


で、うちのアトリエ担当の51枚のパネル、
12世紀に作られたもので(日本だったら鎌倉時代あたりですね)、当時の技術柄、とても厚くて重たいんです。
馴れた職人でも、
窓づたいに螺旋階段前まで運んで一旦呼吸を整えて、
螺旋階段の途中の小部屋まで運んで一旦呼吸を整えて、
螺旋階段を降りきって、階段ドアの鍵を開けてから最後の呼吸を整えて、
教会の扉を開けて車へ運び込む。

とまあ、とても一気に運べないほど重くて、
これを51枚分、繰り返して繰り返して、
今思えば、あれは重労働でした。

その時は、シャルトル大聖堂のステンドグラスを自分の手で触れているというのが、なんというかもう、言葉に表せないくらい感動で、夢中で抱き上げてましたけどね。

ただ、長年の塵が積もって、パネルの表面は煤だらけで、ちょっと触れただけで真っ黒け。
チビ助日本人の私は、全身で運び出していたので、
一緒に運んでいた職人が、興味津々で寄ってきた人々に
「ほら、この黒いのが、長年積もった煤ですよ♪」
と私を指さし、一同大笑いで納得していました。

...と、ここまで前置きでした。
長いですね。
すみません。

さて、そのパネル達、じつはガラスの劣化が甚だしくて、もはや修復の余地が無いんです。
でも、パネルの状態を調査ノートに表して後生に残すというのが大きな目的で、アトリエに運び込んで7ヶ月間の御蔵ののち、今日からいよいよ、本格的な調査に入ったのでした。

...でも、私は、昨日の続き。

焼き上がったガラス(7枚)の上に、さらに絵付けを加えていくんですが、午前中は、そのうちの一枚の、楕円状のガラス片(長軸20センチ、短軸15センチくらい)に活字体で文字を書き列ねていく作業(マックの14ポイントくらいのサイズ)と、手の平サイズのガラス片に背景模様を描く作業。

こういうの、大好き。
文字を書く作業は、あとで肩にきますけれど、燃えます。

出来上がったところを職人が見に来て、
口々に「パッフェッ!(完璧♪)」
って言われた。

...じつは私、納得していません。
顔料の水加減によって筆遣いを微妙に調整しながら書いているうちに、
「F」の字の下のほうが太っちょになってしまったとか、
「S」の字の丸みが妙だとか、
できることなら、書き直したい...。

でも、アトリエ主に「んなこたあ、いいんだ」
と、窯へ持っていかれてしまい、終了。

午後は、残りの5枚のガラス片(衣服の一部に当たる箇所)に、襞(ひだ)の線を引いていく作業。
日本の書道の小筆の、もう少し毛を長くしたような筆で、3ミリくらいの線を30センチほど縦にスーッ、スーッと引いていく姿を想像してみてください。
途中、太くなったり細くなったりしてはダメです。

...私、これ、苦手です。
上から下に30センチも、同じ細さでスーッとなんて、
日本の書道で、そんなの習ったことないもんね。

結局、何回やっても埒が明かなくて、
最後はとうとう、自分の身体を方向転換して、左から右へ引くことにして、終了。
くやしい妥協でした。
練習しないと。

今はみんな、窯の中。
もう焼き上がって、あとは、寝ながら、明日の朝までに徐々に冷えていくのを待ちます。

今日の私の仕事は、内容的にはこれだけですが、
時間は飛ぶように過ぎてゆき、あっという間の一日でした。

一連の作業を写真に納めてブログに載せたいところですが、
デジカメが壊れて使えない。
なんとか新しいのを手に入れたいけれど、
交通手段が無くて、この村を出られません。
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by jaimeleschiens | 2006-05-30 22:31 | 平日

お待たせしました。

キリ良く月初めからとも思ったのですが、
三日前倒しで、本日スタートです。

今まで長らくご無沙汰していた皆様、
この場を借りて、非礼をお詫び申し上げます。

ここフランスでは、先週は、
木曜日は祝日、
金曜日は、平日だけれど、みんな休み、
土日は普通にお休み、

ということで、皆さん、水曜日の午後4時も過ぎると、
まだ週の半ばだというのに「ボン・ウィケ〜ン♪( Bon week-end ! )」と、
足取りも軽くアトリエを去ってゆく、
その後ろ姿が、またなんとも。
微笑ましい。
というより、羨ましい。
いいなあ、あんなに、全身で喜びを表現できて。

この、日本語でいう「飛び石連休」、
ここフランスでは、
休日と休日の間の平日を「橋 (le pont ル・ポン)」と言います。
なるほど、なんとなく私も、「平日」の上に架けられた橋をイメージして、
「ええい、全部休んじゃえ」という気分になってきます。

でも、日本語の「飛び石連休」に置き換わった瞬間、
「平日は働かないと」モードに切り替わる。

というわけで、頭の中でさっと日本語に切り替わってしまった結果、

金曜日は、普通に仕事。
土曜日も2時間だけ仕事。

ほかに誰も職人のいない工房で、独り黙々と作業をしました。
といっても、内容的にはたいした仕事ではなかったんですけれど、
5ヶ月ぶりの作業だったので、金曜日は丸一日かかってしまいました。
勘を戻すための良いウォーミングアップになりました。

今週から、本格的に仕事再開です。
今日は一日、ガラスの絵付け作業でした。
文字通り、ガラス片の上に特殊な顔料で彩色を施す作業なんですが、
このガラス片を、窯に入れて620度で焼いて、
明日また、さらに彩色を加えて、さらに焼きます。

絵付け作業は、かなり緊張します。
失敗できないからね...。

集中力維持には、糖分が欠かせません。
飴玉必携です。
あと、チューインガムも。
みんな、もぐもぐ噛みながら作業してます。
(くちゃくちゃとは噛んでいません。)

今日はこれまで。
デジカメが壊れてしまい、こちらの旬の映像を載せられないのが残念ですが、
まあそのうちに...。
とりあえず、以前に撮った写真を、貼付けてみました。
メールで送ったりもしたことのある写真なので、
ご記憶の方もいらっしゃると思いますが、
ここが、今、私のいるところです。
b0108483_443392.jpg

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by jaimeleschiens | 2006-05-29 22:44 | 平日