美術修復修行中。


by jaimeleschiens
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

カテゴリ:平日( 41 )

教会工事。

今日は、県内の小さな教会の窓に、職人一人、メチエ・ダールの研修生と一緒にセリューリュと補強窓(昨日絵付けをしてきたのとは別の。)を取り付ける工事。ところが、その窓、鐘の真下の高い位置にあり、内部からは階段の空間が細過ぎてセリューリュを運べず、外側も、窓の直下に、等身大のキリスト像が木でできた十字架に張り付けにされていて、しかもその十字架が風雨でとてももろくなっているので、外からセリューリュを入れることもできず、途方に暮れたまま、アトリエ主と連絡を取って、結局アトリエへ戻ることに。
帰りがけに、この教会前の昔ながらのパン屋で、焼き立てのブールとバゲットを買って帰ったら、ワゴンの中が、パンのいい匂い。しかも、このパン、美味しい。こんなに美味しいパンを食べたのは初めてです。研修生が、アトリエ主家の分もパンを買って、アトリエに戻って渡したら、「おお、本物のパンだ♪」と喜んでいました。いやあ、本当に、なかなか無いんですよ、こういう美味しいパン。

さて、工事の方策を練って、午後再び教会へ。セリューリュはなんとか外から運び入れることができたのですが、今度は壁との戦い。工事に慣れた職人も、相当手間取っていました。一方私は、保険の関係で高所での作業ができないので、今回はただ黙って見守っているだけ。なので、皆に「せっかくだから、ここで埃を吸っているより、周りを散策してきたら?」と言われ、狭い空間にただ立っているのも邪魔だろうから、散策させてもらいました。近くを流れる大きな河のヘリに坐って、沈思黙考。
工事は、結局、今日中には終わりませんでした。
[PR]
by jaimeleschiens | 2006-06-29 23:31 | 平日

押しの強さ。

今日は、午前中は絵付けの部屋は空いていたので、独りで絵付けの続き。ウ゛ェリエー達は、休憩時間にトイレに行きがてら私の絵付けをちらっちらっと見に来るんですが、なんというか、皆さん、目がコワイ。「オマエには負けんぞ」みたいな、ピリピリしたものを感じるんですよね...。そんな、芸術は競うものじゃないだろうに。特に二人、本当に目つきの鋭い、キツネみたいな人がいるんですけれど、いやあ、食べられてしまいそうだ。

午後は、メチエ・ダールの研修生と一緒に、車で再びグリザイユ+補強窓アトリエへ。月曜日に注文した補強窓3枚(縦およそ140cm、幅およそ20cm)がすでに焼き上がっているので、その補強窓にグリザイユでブレロテをする、つまり絵付けをしに行ったのでした。3枚とも巨大窯でもう一度焼かれます。明後日の金曜日にそれを取りに、また三たび訪れることになっています。

それにしても、この補強窓への絵付けですが、ブレロテというのは本当に難しい。大窓に均等に色を塗るのは、簡単そうでいて、なかなか上手くいきません。さらには、私はまったく初めてで状況がよく分からないまま、「塗れ。」と言われたので塗ってみて、あ〜もう一度やり直したいな、と思ったら、研修生に「時間が無いから(やり直しは)無理。」と言われ、仕方なく諦めたら、え〜っ!自分のはちゃっかりやり直してんだよ、研修生。で、私のはずいぶんムラがあるねって冷たく言い放つあんたのも、そのムラ、半端じゃないじゃん。
...いやあ、ここでも、押しの強さに負け、っていうか。

そういえば先日も、牡蠣の話になって、研修生に「日本にも牡蠣ってあるの?」と訊かれたので、「あるよ。昔、フランスの牡蠣が病気でダメになったときに、日本から宮城種が送られたんだよね。」と答えたら、研修生は、いや違う、フランスの牡蠣はフランスの牡蠣だ、って言いはってきかないんだよね...。結局最後に、私が折れました。
(この研修生、イイ人なんですよ、念の為。)
[PR]
by jaimeleschiens | 2006-06-28 23:29 | 平日
今日から金曜日までの4日間、うちのアトリエで、フランス中から集まった9人のウ゛ェリエー(verrier(s) ステンドグラス職人)に対する研修が行われます。先生は、うちのアトリエ主。ウ゛ェリエー達は、それぞれすでに自分のアトリエで思い思いに何年も、人によっては何十年も活動をしているとかで、いやあ、すごいです、みんな自分を売り込んで。多分、日本人は一般にこういうのに慣れていないから、どうしてもこの押しに負けちゃいますね。いやあ...。

その中に一人、皆と比べて少々もの静かな人がいるんですが、この人はフランス南部の19世紀から続くステンドグラス工房の跡取りの一人で、じつは2年前の夏、私は一度そのアトリエを訪れたことがあるんです。何人も職人を雇っている工房なので、一度訪ねたきりの私のことなど覚えていないだろうと思ったら、いやいや、覚えているとのこと。世間は狭いです。
今日は、彼らが研修を受けている間に、久々にロゾンジュ作りの復習をしようと思っていたので、午前中は図面を引いて、ガラスカットや鉛線カットなど下準備を終えて、午後イチでパネルを仕上げる気満々だったところ、午前の研修が終わって私の様子を見にきたアトリエ主が「せっかくだから絵付けしたら♪」と言うので、んじゃせっかくだからと思ったら、「でも午後は(絵付け用の)ライトテーブルを使って研修をするので、絵付けは研修が終わってからね♪」と軽く流され、することが無くなってしまったので、独りであっちの場所で12世紀から20世紀までの各時代のステンドグラス史のおさらいをしていました。
で、夕方5時半過ぎ、皆がアトリエを去ってから、独りで絵付け。
[PR]
by jaimeleschiens | 2006-06-27 23:27 | 平日
今日は、6月22日のブログで書いた、グリザイユ製造+補強窓制作アトリエへ、研修生ともども、アトリエ主に車で連れていってもらいました。グリザイユを秤にかけてポットに入れる作業や、グリザイユの材料、補強窓を作る工程、ほかにもいろいろ、大変勉強になりました。

村へ戻り、アトリエで、小さな修復パネルを二か所ティファニゼして、私の仕事は終了。
研修生は、グリザイユの色見本をガラスのピエスで作る作業。今までに結構いろいろとガラスに描いてきている研修生ですが、ブレロという独特の筆を用いてガラス表面をムラなく塗る(「ブレロテ」といいます。)というのはあまりやったことがないそうで、アトリエ主からコツを教わっていました。

今夕、研修生に餃子を食べさせたら、研修生がお礼に食器を洗ってくれたんですが、泡だらけのまま終了なので、「えーと、これは、これからゆすぐのかな?」と尋ねると、「今日は、面倒だからこれでおしまい」って、なんだそりゃ。
改めてゆすぐのも角が立つので、明日、使う前に一度水を通すようにしようと思います。ここでは、私は食器洗い好きってことになっているんですが、違うって。しっかりと洗剤を落とした食器を使いたいですからね。
[PR]
by jaimeleschiens | 2006-06-26 23:54 | 平日
今日は全員、午前中のみ。
職人は金属の最後の上塗りを終えて、アトリエの掃除をして、終了。
研修生は、デッサンを終えて見本パネルを作成して、終了。
私は、昨日までのネットワイアージュがもう一息だったので、午後独りでやる気満々だったんですが、正午近くに、私がメガネ引っ掛けサングラスを欲しがっているという話題になり、研修生が「午後、車で街のメガネ屋に連れていってあげるよ」というので、結局私も終了。
で、ついに購入。どんなものかお見せしたいのですが、今はデジカメが無いので残念。
清の最後の皇帝みたいで、なんかなあ〜、って感じですが、仕方ありません。
これからはもう、日光が目に染みることも、目を細めて眉間にしわを寄せることもなくなると思います。
今夕、アトリエ主夫妻がバカンスから戻ってきました。明日挨拶に行こうと思います。
[PR]
by jaimeleschiens | 2006-06-23 23:39 | 平日
私は、今日も一日ネットワイアージュ、研修生はデッサンの続き。
その他の職人は、金属を上塗りした後、今日はもう仕事が無いからと、皆、家に帰ってしまいました。

フランスは「週35時間就労」という決まりになっていて、文字通り一週間で35時間働けばよく、例えば、月曜日に7時間、火曜日に8時間、水曜日に8時間、木曜日に7時間働いた場合、金曜日は5時間働けば計35時間。なので、今日帰ってしまった職人は、今日働かなかった分を明日と明後日で余計に働いて、最終的に35時間になればいいわけです。

さて、研修生が取り組んでいるシステルシアン、これは、うちのアトリエ主の懇意の、グリザイユ製造や補強窓作成で有名なアトリエへ、補強窓注文の見本として月曜日に届けることになっているのですが、この研修生は、昨年の今頃、そのアトリエで短期修行を済ませていて、今年もまた、うちのアトリエで来週金曜日まで研修をした後に再度そのアトリエへ移り、それからまたうちのアトリエへ戻ってくる、と、行ったり来たりでちょっとややっこしいのですが、まあ、そういうことになっているんだそうです。
それで、今日は、そのアトリエについてや、大学院修了まで学んでいたというステンドグラスパネルの時代別判断基準についてなど、いろいろと中身の濃い話をしてくれて、とても勉強になりました。研修生に感謝。

ところで、午後6時半、いつもの親切ご近所さんから、裏庭のさくらんぼを採りに来るようにと電話があり、急いで仕事を終えて、研修生を誘ってバケツを山盛りにしてきました。親切ご近所さんはさくらんぼジャム作りの最中で、台所のテーブルはジャムポットだらけ。真冬を除いて、どの家も競ってジャム作り、その執念には凄まじいものがあります、男女違わず。少し前はいちご、今はさくらんぼ、そろそろアプリコット、桃。秋にもう一度いちごの時期があって、その後りんごや洋梨。冬間近にはマルメロ。私も昨年、親切ご近所さんからマルメロジャム作りをしごかれました。
[PR]
by jaimeleschiens | 2006-06-22 23:11 | 平日
6月12日のブログで、窓にパネルを固定するための金属類(SERRURE セリュル)の、バルロチエール、フォイヤール、クラウ゛ェット、ウ゛ェルジェットについて書きましたが、うちのアトリエでは、この旧来の金属類を用いた固定方法のほかに、バルロチエール、フォイヤール、クラウ゛ェットに代わって、アトリエ主の知己の金属工(SERRURIER セリュリエ)と共同開発した金属格子(GRILLAGE グリヤージュ)と専用ビス、専用固定棒を使った新しい固定方法をしばしば採用しています。写真を載せられればどんなものかよく分かるのですが、残念ながら、ちょっと無理。すみません。

ここまで前置きでしたが、今日は、朝イチにうちの職人がこの金属類をセリュリエから運んできて、午前中は職人総出で、流れ作業で
1. トルエンを塗る。(防毒マスク着用。)
2. トルエンの油を柔らかい上で拭き取る。
3. 錆び止め塗料を塗る。
この作業は、今日はここまで。錆び止め塗料を乾かすために一晩おいて、別の塗料で明日、明後日と、あと2回上塗りします。

午後は皆で、昨日までデピケ(DEPIQUER)していたピエスをアセトンとエタノールを半分ずつ混ぜた液体で洗浄(NETTOYAGE ネットワイアージュ)する作業。
研修生は、幾何学模様のパネルを作る課題が与えられていて、そのデッサンに取り組んでいました。
幾何学模様にもいろいろと種類があるのですが、今回研修生が取り組んでいるのは、特にシトー派修道院でよく用いられたことから名付けられている「システルシアン CISTERCIEN(シトー派)」というものです。
[PR]
by jaimeleschiens | 2006-06-21 23:02 | 平日

文化遺産専門目録調査官

今日は一日、研修生さんと一緒に、昨日の午後の続きの「DEPIQUER デピケ」。
始めると、つい時間を忘れてしまいます。
この研修生さんは、将来は文化遺産専門目録調査官(ATTACHE DE CONSERVATION DU PATRIMOINE SPECIALITE INVENTAIRE アタシェ・ド・コンセルウ゛ァスィオン・デュ・パトリモワン・スペシャリテ・アンウ゛ォンテール)になって、フランス国内の各地域に残る文化遺産の目録を作成して世に残したいんだそうです。
[PR]
by jaimeleschiens | 2006-06-20 22:15 | 平日
今日の前半は、私にとっては久々に教会での現場作業です。
今回の教会は、とても小さなロマネスク教会ですが、昨年初めて私にも一つの窓(BAIE 「ベ」といいます。)の三パネルを任せてもらえた、少々思い入れのある教会です。
今までのこの教会に関しての私の作業は、

1. 菱形窓(LOSANGE ロゾンジュ)を取り外して(DEPOSER デポゼ)、
2. アトリエで鉛線を丁寧に開いてロゾンジュのピエスを一枚一枚取り出して(DEPIQUER デピケ)、
3. 無傷のピエスと割れた使用不可のピエスとに分けて、
4. 無傷のピエスを再び鉛線に埋め込んで(REPIQUER フピケ)、
5. 教会に運んで窓にはめ込んで(REPOSER フポゼ)、
6. 石灰(LA CHAUX ラ・ショ)と砂(LE SABLE ル・サーブル)とを1:3で混ぜて水で泥状にして、
7. 6. を窓の周りに塗り固める(SCELLER セレ)。

それがこれです。(写真、左に倒れてしまいました。)
b0108483_5404221.jpg

鉛線もピエスも、全部19世紀に作られた当時のものです。
なので、一見すると、鉛線もガラスも汚くくすんで、どこが修復だ、と怒られそうですが、これが我々の意図したところ。この教会を管理する役場との取り決めで、「ロゾンジュはすべて当時のものを用いる」「ロゾンジュにするピエスが足りなくなった窓は、創作パネルをはめる」ということになっているのです。
今回は、その創作パネルをはめる作業と、さらに、私の担当のロゾンジュの周囲をもう一度石灰で塗り固めるという作業です。
ということで、半日、私は壁塗り職人、左官でした。これまた、ツボをついて、はまるんです。
窓の右側は左手で塗り、左側は右手で、と塗っているうちに、気がついたら結局左側も左手でした。
左利き決定。

さて、アトリエへ戻ったのが14時、アトリエの台所で急いで昼食を摂り、その後は4枚の個人所有パネルのうちの二枚の、割れたピエスをデピケ。

さて、今日から、高等美術工芸学校(ECOLE SUPERIEURE DES METIERS D'ART エコール・スュペリュール・デ・メチエ・ダール)からやってきた研修生(STAGIAIRE スタジエール)一人も一緒です。

この研修生は、すでに大学院で美術史(HISTOIRE D'ART イストワール・ダール)の修士号 (MAITRISE メトリーズ) の取得後、さらにメチエ・ダールへステンドグラスを学ぶために入学し直して、三年間のうちの2年目が終わるところ。このメチエ・ダールでは創作が主なため、教育の一環として保存・修復の世界も知るために、学年の終わりの今の季節に毎年、こうして国内の修復専門アトリエに短期修行に出るのだそうです。

フランスでは、こういった研修制度(STAGE スタージュ)や、見習い制度(APPRENTISSAGE アプロンティサージュ)がしっかり残っています。しかも、修行中の支出は一般に、自分の食費だけです。
[PR]
by jaimeleschiens | 2006-06-19 22:54 | 平日
今日から一週間、アトリエ主夫妻は、クロアチアへ旅行です。
毎度のことですが、かなりバタバタした出発でした。前回は、家族でエジプトだったのですが、そのときも「アトリエの鍵を掛け忘れたから、行って鍵を掛けてきてくれ」と空港から、一番アトリエに近い私ところに電話が掛かってきて、エライ時間だったのでびっくりしましたが、鍵を掛けに行きましたよ、真っ暗な夜道を懐中電灯を持って。

さて、今日は、午前中、弁髪少年(今日で研修終了)へ、パネルの組み方指導。少年は、自分で一昨日、昨日と絵付けをしたピエスを、鉛線で丁寧に組みながら小さな作品を一つ仕上げました。

少年への指導を終えて、私は昨日の続きに戻り、昨日アタッシュをハンダゴテしたところにウ゛ェルジェットをくくりつけて、午前の作業は終了。

今日は皆、午前中で仕事を終え、午後、アトリエ主夫妻が出発した後、私は、来週から来る研修生のためにアトリエ内の宿泊部屋を掃除しました。

仕事らしい仕事をしない、まったりした一日でした。
[PR]
by jaimeleschiens | 2006-06-16 22:04 | 平日