美術修復修行中。


by jaimeleschiens
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カテゴリ:平日( 41 )

赤い色の天使

今日の午前中に、ネットワイアージュはすべて終わりました。
といっても、じつはこのネットワイアージュ、まだ第一段階で、今後あと数回、それぞれ別の溶液によるネットワイアージュが続きます。
一昨日書いた「堕天使」ですが、どうも「赤」すなわち「堕天使」というわけではないようです。「赤」には「悪」の意味だけでなく、時には「炎」を表して、神への熱い愛を示すというようなこともあるらしく、天使の中で最高位の「熾天使(してんし SERAPHIN セラファン)」、第二位の「智天使(ちてんし CHERUBIN シェリュバン)」が赤で描かれることもしばしばあるようです。なかなか難しいですね。

午後三時頃、ニォールから戻る職人達をアトリエで出迎えて、今日は解散。
明日は、国民の休日「7月14日(ル・キャトルズ・ジュイエ Le quatorze Juillet)」、フランス革命記念日です。今夜はフランス中で花火大会です。私のいる村の付近では、いつもマルシェに行く街で毎年花火大会が行われるので、私も昨年、親切ご近所さんに連れていってもらったのですが、今年は出かけませんでした。夜11時頃から二十分ほど、間隔をおいて「ぼ〜ん」「ば〜ん」と聞こえてきました。なんだか無性に、日本に残してきた犬が恋しくなってきて、今も写真を見ながらキーを叩いています。
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by jaimeleschiens | 2006-07-13 23:54 | 平日
今日も昨日の続き、ひたすらネットワイアージュです。小さいパネルですが、午前中に2枚、午後に2枚、一日4枚しか進みません。

さて、以前、パネルを支える金属類、「バルロチエール」「フォイヤール」「クラウ゛ェット」について書いたことがありますが、アトリエの片隅に、この三点セットのミニチュアがあったので、デジカメに納めました。
これです↓↓
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1. バルロチエール
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通常、すでに窓に取り付けられています。
真上から撮ったので少し見にくいですが、突起物がありますね。これを「パントン」といいます。

2. フォイヤール
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バルロチエールのパントンにステンドグラスパネルを乗せ、
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このフォイヤールで挟みます。フォイヤールの穴は、セットのバルロチエールのパントンの位置に合わせて抜かれています。
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3. クラウ゛ェット
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この楔(くさび)がクラウ゛ェットです。フォイヤールの穴から出てきたパントンに、上から差し込みます。

ちなみに、このパネルが、幾何学模様の最も基本の形、「ロゾンジュ LOSANGE」と呼ばれるものです。ロゾンジュとは「菱形」という意味です。
いくつかのピエスに模様が描かれていますね。これが、グリザイユの絵付け。中世によく使われた赤いグリザイユで描かれたピエスと、後世に作られた緑のグリザイユと「デポリDEPOLI(E)」と呼ばれる白いグリザイユとを半分ずつ混ぜたもので描かれたピエスと、何も描かれていないピエスとで、このパネルは組まれています。「デポリ」とは「つや消しの、曇った」という意味です。光にかざすと、ほぼ色が消えて、なんとなく摺ガラスのような感じがしますね。
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by jaimeleschiens | 2006-07-12 22:35 | 平日
今日は、早朝に職人達のニォール行きを見送ったあと、アトリエに残ってサン・ジェルマン・ロクセロワ教会のパネルのネットワイアージュの続き。ここは、下の階がステンドグラス修復アトリエ(=アトリエ主のアトリエ)、上の階が絵画修復アトリエ(=アトリエ主の奥さんのアトリエ)と、二つのアトリエで成り立っていて、今日は、その絵画修復アトリエのほうにいる職人さん一人と私とで留守番です。
ネットワイアージュの様子は、こんな感じです。
(一週間だけ、公開します。)
ネットワイアージュ開始。↓↓

(映像公開は終了しました。)


右下から始めました。煤で真っ黒な表面ですが、右下のピエス一枚のみ青いですね?今、これをネットワイアージュしたところです。この青いピエスの上の白いブツブツは、ガラスが長年の間に劣化してクレーター状になったものです。
エタノール30%に浸したコットンで、一回目のネットワイアージュ。↓↓

(映像公開は終了しました。)

二回目。まだこんなに黒い。↓↓

(映像公開は終了しました。)

コットンに黒い色が付かなくなるまで、何回も続けます。

ネットワイアージュ後は、天使もサッパリ顔。↓↓

(映像公開は終了しました。)

でも、この天使、赤いですよね。どうも堕天使のようです。
堕天使は、「もとは天使であったが神に反逆して悪魔となったものたち」(広辞苑第五版)です。
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by jaimeleschiens | 2006-07-11 22:23 | 平日
今日から木曜日までの四日間、ニォール(Niort) という都市のカルメル修道院付属の教会で、パネル取り付け作業です。
今日は、まず足場の取り付け作業と、窓にはめ込んである古い金属の錆び落としと錆び止め液塗布作業。
足場の取り付けには、およそ一時間半ほどかかります。

私は、保険の関係で足場に上ることができないので、足場の取り付け作業後は、職人達の作業を下から見守るのみ。何もすることのないままただ時間だけが過ぎてゆくというのは、とても辛いものです。
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by jaimeleschiens | 2006-07-10 22:17 | 平日
今日は、歴史遺産の一つ、パリの「サン・ジェルマン・ロクセロワ教会(Eglise Saint Germain l'Auxerrois Paris)」のパネルのネットワイアージュ。エタノール30%溶液をコットンにしみ込ませて、少しずつ汚れを取り除いていきます。せっかくデジカメを手に入れたのに、残念、ここに写真を載せることができません。
今日はひたすらこのネットワイアージュ。
一日中エタノールを嗅いでいたので、ちょっと酔っぱらったかも。
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by jaimeleschiens | 2006-07-07 22:11 | 平日

向き不向き

今日は、アトリエ主とメチエ・ダールの研修生が、先日日本のテレビで放映された(6月17日ブログ参照)フランス人のアトリエへ所用で出掛けたので、この研修生が昨日あてがわれたパネル修復の続きをするのが、今日の私の仕事。
この研修生は、どちらかというと絵付けのほうが得意らしく、前に私に話したことがあったのですが、こういった地道な修復作業は好きではないとのこと。たしかに、パネルに表れていました。他の職人達も、パネルを見て、「手先は器用なのに、残念だな。(修復作業には)根気が必要だからな。」と言っていました。それぞれ、向き不向きがあるんですよね。この研修生も自身の性格が判っているからか、「文化遺産専門目録調査官になりたい」(6月20日ブログ参照)と言っていましたね。
...果たして、私は向いているんだろうか...。
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by jaimeleschiens | 2006-07-06 23:21 | 平日
今日もまた、パネルのピエスのデピケ→ティファニゼ→フピケの繰り返し。
ようやく全部のピエスを終えて、今度は割れた鉛線の補強(CONSOLIDATION コンソリダシォン)。これがまた、時間がかかるんです。7月3日のブログで書いたように、錆びた鉛線はコテに反応しないので、まずは丁寧に錆び落とし。でも、酸化した鉛線はとにかくボロボロでカスカスの状態なので慎重に慎重に錆を削り、そのあとハンダゴテをあてますが、これも油断すると、薄くなっている鉛が溶けてしまうので、手早くハンダをのせなければいけません。写真を撮れなくて残念ですが。
なんとなく要領がわかってきて、二枚のパネルを仕上げました。

それから、ようやく今日、滞在許可書更新申請の不備書類を役場に届けに、親切ご近所さんに連れていってもらって、やっと最終段階。
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by jaimeleschiens | 2006-07-05 19:06 | 平日

県境の小さな礼拝堂

今日は、職人二人とメチエ・ダールの研修生とで、県境の小さな集落の小さな礼拝堂へ、窓はめ込み工事へ。
私はアトリエで、昨日の続き。割れたピエスが多くて、ひたすらデピケ→ティファニゼ→フピケの繰り返し。
午後4時頃、アトリエ主とともに、職人と研修生のいる礼拝堂へ向かいますが、なにしろ県境なので遠い。平均時速100キロで飛ばして、一時間後に到着。この集落は、家が僅かに三軒のみの本当に小さな集落です。こういう、村(VILLAGE ウ゛ィラージュ)に満たない小さな集落を「HAMEAU アモー」といいます。
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この礼拝堂(CHAPELLE シャペル)は、今まで荒れ果てて、屋根も落ちて内部も野ざらしになっていたものが、ようやく今、経済的に目処がついて、少しずつできるところから修復することになったというものなのですが、この集落を含む村の台所事情は相当に苦しいらしく、本当はすべての窓にステンドグラスをはめたいところを、今回は正面奥の小さな細長い三枚のみで終了。しかも、この三枚、ステンドグラスではなく、テルモフォルムという手法で、もとは補強窓用。ステンドグラスより若干安めの窓なのです。
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すべての窓がステンドグラスで覆われるには、きっと次の世代を待つことになるでしょう。なので、そのときまでの一時しのぎに、他の窓はポリカーボネイトでふさいで今回の工事はすべて終了。このシャペル、なんかこう、小さいながら一生懸命生きている感じがして、おもわず応援したくなります。がんばれ。
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by jaimeleschiens | 2006-07-04 22:52 | 平日
今日は、県内のある教会から運ばれてきた、4枚続きのパネルを修復する作業です。
この4枚は、かなり湿気のある場所に設置されていたらしく、19世紀に制作された、比較的新しいものであるにもかかわらず、鉛線がすっかり酸化してボロボロです。おまけに、ガラス片もあちこちかなり割れているので、パネルも歪んでふにゃふにゃしていて、持ち運びも超慎重。
この4枚から、まずは古いアタッシュをコテで取り外す作業。錆びた鉛や錆びたハンダはコテに反応しないので、アタッシュがくっついている部分を一つ一つ全部、ナイフの先で錆落としをしてから、油を塗ってコテを充てて、ハンダを溶かしてアタッシュを取り除きます。なんでもない作業なのですが、時間はかかります。

次に、各パネルの修復作業。
まずは、割れたピエスを取り出して(DEPIQUER デピケ)、割れた状態によってアトリエ主がコラージュかティファニゼか鉛線かのいずれかの方法を決めた上で、そのガラス片をもとのピエスの状態に近付け、またパネルにはめ込む(REPIQUER フピケ)作業。今回は、どれもティファニゼということになり、デピケ→ティファニゼ→フピケの繰り返しの一日でした。
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by jaimeleschiens | 2006-07-03 22:43 | 平日
昨日の工事は、今日も引き続き行われるのですが、私はアトリエに残って、ロゾンジュのパネル作り。ロゾンジュの組み立て初めのやり方を、あれ?どうやるんだっけ、と手間取っていると、研修が始まる時間にあわせてやってきたウ゛ェリエー達が興味津々と集まって来て、「お、そうじゃないよ、オレはこうするよ。」「この順番に組めば後がとても楽ヨ」と、口々にいろいろと教えてくれました。感謝。目つきの鋭い二人は相変わらずこちらが挨拶してもツーンと素通りでしたが、ほかの方々は、研修の休憩のたびに「どうだい、うまくいってるかい?」と様子を見にきたり、とても和やかで、初日のピリピリした雰囲気がウソのようです。今日の研修は、私がロゾンジュを組み立てる部屋で行われたので、私も、研修を聞きながら作業をしていました。そのうち、最近の修復例としてアトリエ主がいくつかパネルを持って来て説明し始め、その中に私が手掛けたパネルもあって、アトリエ主がそのことも言うと、目つきの鋭い二人がさっとこっちを見たんですが、突然、目が変わったんです...さっきまでの鋭い目が、丸く柔らかい目に変わったんです。なんというか、全然別の人間が入れ替わってしまったかのようで、生身の人間でこういう一瞬の変化を見たのは、初めてかもしれません。研修が終わってアトリエを去る時には、わざわざ挨拶にまで来てくれて、いやあ、かえって恐縮です。やっぱり根っから悪人はいないんだなあ、と私も笑顔で挨拶をしました。
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by jaimeleschiens | 2006-06-30 22:35 | 平日