美術修復修行中。


by jaimeleschiens
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カテゴリ:平日( 41 )

今日は、アトリエ主とメチエ・ダールの研修生と私だけ。アトリエ主が「今日は好きなことをやれ。」と言うので、「シェ・ドゥーウ゛ル chef d'oeuvre」に挑戦。「シェ・ドゥーウ゛ル」とは、普通は「傑作」「名作」といった意味なのですが、ステンドグラスでは、ガラスに穴を開けて、その穴に、鉛線で別のガラスを嵌(は)めたものを指します。と言われてもよく分からないと思うので、順を追って写真をアップしていきますね。
まず今日は、ガラスカット。こんな風になります。↓↓
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ちょっと切り口がガサガサしてきれいではありませんが、穴が小さいので仕方がありません。穴が小さければ小さいほど難しくなります。
昔は、このようにガラスに穴をあけることに成功したら、その人は「親方」と呼ばれることが許された、というくらい難しい技法だったそうです。ガラスの厚さや道具の質が今とはまったく違ったためですが、現在では、心穏やかに慎重にガラスをカットすれば、なんでもなく穴が開きます。というわけで、私も、感動する間もなく終了。
ただ、「心穏やかに」というのは本当に大事なことで、少しでも雑念が入ると、ガラスに容易にヒビが入ってしまいます。アトリエ主さえ失敗すること有り。おまけに今日は、私のガラスカッターまで落として、雑念だらけのアトリエ主。ガラスカッターは命だろうに。

その後、絵付けの柄を考えて、午後、フランス伝統の茶色のグリザイユで絵付けをしてみました。時間も押していて、絵付け後すぐに窯に入れてしまったので、写真を撮れず残念。
絵付け前のピエス。↓↓
(と、アトリエ主に落とされた私の「命」。)
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by jaimeleschiens | 2006-07-28 23:26 | 平日

解体終了。

今日はサンジェルマン・ロクセロワの最後のパネル解体。クレペリン検査じゃありませんが、これで最後だと思うとペースも上がります。が、このパネルも絵付けの状態が悪くて、気を付けないとグリザイユが剥がれてしまうので、慎重に作業を進めて、結局丸一日かかってしまいました。でも、今までのパネルの倍の大きさなので、かなり速いペースだったわけで、職人達も納得。
最後のパネルの、上半分。↓↓
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今、クリュニーのパネルをアトリエ主が一ピエスごと細かく状態調査しているのですが、「ちょっとあの本見せて。」と言うので(7月25日参照)、持ってきて一緒に本の中の写真とパネルとを見比べてみると、本の中の写真のパネルは、一時代前の、前回の修復前のものだったことがわかりました。(7月25日のブログ内の写真を見比べてみてください。)
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by jaimeleschiens | 2006-07-27 23:22 | 平日
先週土曜日(7月22日)からブログ原稿は書き溜めていたのですが(って、大したこと書いてませんが...)、今までパソコンを電話回線に繋ぐ機会が無かったので(未だwanadooダイヤル回線...仏国内のどこからでも繋げるようにということでなんですが、重い。)、今日一気に五日分のアップです。遡(さかのぼ)って御覧ください。

さて今日は、午前中、クリュニー中世美術館から館長さんともう一名の方がみえて、向こうの部屋で午前中いっぱい、アトリエ主と三人で、パネルを囲んで細かなチェックをしていました。
一方私は、月曜午後からのパネルの解体が、やっと終わりました。↓↓
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職人の一人から「おい、時間掛け過ぎだゾ」と言われましたが、アトリエ主から「これは(問題パネルだから)こんなもんだ」と励まされ、気を取り直して、午後から、ウチのアトリエ担当の最後のパネルに着手。
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by jaimeleschiens | 2006-07-26 23:41 | 平日
今日も問題児パネルの続き。前々回のパネルのような間違えピエスは無いのですが、プロン・ド・キャスの多さと、絵付けの脆弱さ(ぜいじゃくさ)と、強力マスティックで、なんとも...。

さて、明日、パリのクリュニー中世美術館から、館長さんがはるばるウチのアトリエにやってきます。今、クリュニーのパネル(15世紀)もウチで修復中で、エクオン美術館と並んで、パリの二つの中世美術館のパネルがどちらもココにあるわけです。

ということで、仕事が終わった19時から、アトリエ中を大掃除。トイレでピクニックができますよ♪ってくらい隅々まで磨きました。

じつは今回一時帰国の日本からココへ戻る飛行機の中で、なにげに眺めていた写真があったんですが、↓↓
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その翌日、アトリエの机の上にドンと乗っかっていたのが、このクリュニーのパネルなんです。↓↓
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これにはさすがにたまげました。偶然すぎて。

エクオンのパネル(17世紀)の時もそうです。そのときも相当びっくりしたんですが。↓↓
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これはすでに修復が終了して美術館に搬入済み。今は、この続きのパネルを修復中です。
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by jaimeleschiens | 2006-07-25 23:56 | 平日

相変わらずパネル解体。

今日は、午前中は先週金曜日のパネルの解体の続き。特に問題のない、じつにやりやすいパネルでした。が、その分、影が薄くて、写真失念...。
午後から新しいパネルに移ったのですが、これがまた問題児で、なかなか進みません。
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by jaimeleschiens | 2006-07-24 23:55 | 平日

解体作業、続きます。

今日のパネルは昨日までのより大きいのですが、ピエス一枚一枚も大き目で、しかもしっかり焼きつけられてグリザイユの色落ちもなく、安心してマスティック落としができます。
今日は職人達も皆午前中で帰ってしまい、私も昼食後にアトリエ内の掃除をして終了。

たまには近所の風景を。
ペットの馬たち。↓↓
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by jaimeleschiens | 2006-07-21 23:19 | 平日

解体してわかること。

今日も一日、昨日の解体の続きでした。(終わりました。↓↓)
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サン・ジェルマン・ロクセロワの修復は、じつはすでに何年も前からの複数のアトリエでチームを組んでの共同事業で、詳細なエチュードによる分厚いファイルには、各パネルのピエス、鉛線の状態がびっしりと描き混まれています。が、解体してはじめてわかることも少なくありません。
例えば、このパネルでも、過去すでに修復されている部分、プロン・ド・キャスを解体してみると...

こう組まれていました。↓↓
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本来は、こうなっていたはず。↓↓
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また一つファイルする事項が増えました。

ついでに、この部分も間違っています。↓↓
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かつてこのパネルを修復した人の性格が垣間見えてきます。
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by jaimeleschiens | 2006-07-20 23:10 | 平日

雷雨。→ 停電。

今日も昨日のパネルの解体の続き。大きなパネルではないのですが、とにかく傷みが激しくて、なかなか作業が進みません。こういった修復を必要とするパネルというのは、過去にも何度か修復がなされている場合が多く、制作された当時から壊れ易い要素を持っているんですね。なので、修復箇所はいつも同じ。
ティファニーのコパーテープがこの世に誕生するまでは、割れたガラス片は全て細い鉛で繋がれて(これを「プロン・ド・キャス plomb de casse」 といいます。)つぎはぎだらけに修復されていたのですが、修復された回数分、ピエスはより小さく、より細かくなっているので(その都度割れているわけですから)、それを一つ一つ取り出して、マスティックを落として、の繰り返しは、やっぱりある程度根気が必要かもしれませんね。

さて、今晩、久々に大雨がやってきました。
朝からなんとなく不安定な空模様だったんですが、いやあ〜、雷が、お城の塔に落ちるんですよ、ドッカーン バリバリバリ 映画を見ているようでした。
ほどなく、恒例の停電。
前回のマルシェで、雷雨に備えてロウソクをごっそり仕入れてきたので、強気に「いつでも来い、停電♪」だったのですが、いざ始まると、やっぱり早く復旧してほしい。
犬たちも、雷が怖くて私の足下を離れようとしません。
こんな明かりで過ごしていました↓↓
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この「家」に見覚えのある方もいらっしゃることでしょう。前に居た所で、屑ガラスを集めてこれとほぼ同じ家を作ったのですが、ここに移動してくる際、お世話になった方に差し上げてしまったので、ここでもまた、アトリエの屑ガラスを集めて時間のあるときに作ってみたのでした。

さてさて、その後、親切ご近所さんが、明日からしばらく留守にするからとやって来て、ここの停電の有り様にびっくり。親切ご近所さんのびっくりしている姿を見て、私もびっくり。今回の停電はウチだけだそうです...って、なんだそれ。
ほどなく電気も戻って来て、やれやれ、こうしてブログ投稿ができます。
親切ご近所さんは、スイスの親戚に会いに、十日間ほど車で行ってくるんだそうで。
いいなあ。私もたまにはこの村を出たいです。
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by jaimeleschiens | 2006-07-19 23:59 | 平日
今日も一日、解体作業。
ただ鉛からピエスを外すだけならわけないんですが、ピエスを外すごとに、ピエスにこびり付いたマスティックを落とす作業が、非常に手間がかかります。しかも、ピエスによっては、絵付けも一緒に色落ちしてしまうことがあるため、とても慎重に行います。本来絵付けは、きちんと焼き付けられていれば、まず色落ちなどあり得ないのですが、グリザイユの質が悪かったり充分な温度で焼き付けられていなかったりした場合に色落ちが発生することがしばしばあるようです。また、パネルが長年何らかの悪条件にさらされてガラスが劣化している場合などに、絵付け部分も腐食して色が剥がれたりというようなこともあります。今日のパネルは、まさに要注意のパネルです。

さて、このアトリエは、近くに川が流れているためか、夕方にもなると蚊がすごい。おまけに、刺すハエもいて、これがまた痒いんです。私、この刺しバエに好かれ、両腕とも無惨な有り様...。見兼ねたアトリエ主の奥さんが、前に「これ、効くワヨ♪」とプレゼントしてくれたのが、コレ↓↓
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シャチハタのハンコみたいですね。
喰われた箇所にこの黒い部分を充てて、カチカチカチカチ と複数回、頭のボタンを押します。その都度弱い電気ショックが起こり、痒みを忘れるという代物。
先日紹介のビニール水入れ、炭酸水に続き、これもイタリア製ですが、こういうのを考えだすのがイタリア人なんですかね? 私のツボをくすぐります。
効果のほどは...
ん〜どうかなあ。キンカンのほうが効くかなあ〜。
(職人達、キンカンを絶賛です。)

でも、なにげに安くないんです、これ。親指サイズなんですが、バーコードの下に14,50 ユーロと表示されています。↓↓
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by jaimeleschiens | 2006-07-18 23:50 | 平日
今日はまず、先週片面をネットワイアージュしたパネル全ての拓本作り(frottis フロッティ)からスタート。↓↓
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楽し過ぎて、あっという間に終了。
あとでパネルを解体(dessertisage)するのですが、その時にとても重要になります。

次に、パネルのもう片面のネットワイアージュ作業。
私達がいつも「THIO チォ」と呼んでいる、アトリエ主が作るジェル状溶剤を、刷毛でパネルに塗って最低20分寝かせます↓↓
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...テーブルに置かれた別のパネル、これ、パリのエクオン美術館のパネルです。そう、じつはうちのアトリエで修復中なのです。

さて、「THIO」と呼ぶからには、きっと硫黄の化合物なんでしょうが、成分はアトリエ主以外、誰も知りません。アトリエ主家がバカンスから戻ってきたら訊いてみようと思います。
(...じつは、アトリエ主家が今週もバカンスだとは知らず...犬たちは、自動的にもう一週間預かります。ただ、鉢植えトマトがそろそろ根詰まりしてきて、水をきちんと吸わなくなってきたんですよね。植え替えたほうがいいんでしょうけど、勝手にやってあとでなにかあってもナンなので、とりあえず頼まれた水やりだけやっておくことにします。)

さてさて、こびり付いた固いマスティックや頑固な汚れを浮かせてから、柔らか歯ブラシで磨いて(絵付け部分を傷つけないように注意しながら)、再び20分ほど寝かせたあと、溶剤を柔紙で取り除き、純エタノール溶液で拭き取ります。ジェルを完全に取り除くのはかなり手間がかかります。

ネットワイアージュの終わったパネルは順次、長いビニールシートの上に置いて、柔紙を二重にかぶせた上から純アセトン液を満遍なく注ぎ、ビニールでしっかりと包み込み、最低2時間寝かせておきます。↓↓
(この間に昼食をとる。)
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これは、上のネットワイアージュで取れなかった超頑固なマスティックをふやかして(ramollir ラモリール)、このあとの解体作業で鉛からピエスが外れ易くするためのものです。

続いて、解体作業。
鉛から丁寧にピエスを外していきます。
その前に下準備:大きな引出し板を用意して、そこに拓本を置いて、さらに透明ビニールシートを置きます。この上に、外したピエスを重ねていきます。↓↓
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鉛から外したピエスは、拓本の上に置く前に、エタノールとアセトンを半々ずつ混ぜた溶液で、マスティックを完全に落とします。↓↓
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こうして徐々に解体していきますが、鉛からピエスを取り外すには、かつてこのパネルが作成された時の鉛の組まれた順をよく考えないといけません。無闇やたらと外そうとすると、ガラスは必ず割れてしまいますが、組まれたときと逆の順に外していけば、何事もなくするりと鉛からピエスが抜けます。これがまた面白い。すっかりツボにハマっています。
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by jaimeleschiens | 2006-07-17 22:04 | 平日