美術修復修行中。


by jaimeleschiens
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教会での現場作業 / 研修生

今日の前半は、私にとっては久々に教会での現場作業です。
今回の教会は、とても小さなロマネスク教会ですが、昨年初めて私にも一つの窓(BAIE 「ベ」といいます。)の三パネルを任せてもらえた、少々思い入れのある教会です。
今までのこの教会に関しての私の作業は、

1. 菱形窓(LOSANGE ロゾンジュ)を取り外して(DEPOSER デポゼ)、
2. アトリエで鉛線を丁寧に開いてロゾンジュのピエスを一枚一枚取り出して(DEPIQUER デピケ)、
3. 無傷のピエスと割れた使用不可のピエスとに分けて、
4. 無傷のピエスを再び鉛線に埋め込んで(REPIQUER フピケ)、
5. 教会に運んで窓にはめ込んで(REPOSER フポゼ)、
6. 石灰(LA CHAUX ラ・ショ)と砂(LE SABLE ル・サーブル)とを1:3で混ぜて水で泥状にして、
7. 6. を窓の周りに塗り固める(SCELLER セレ)。

それがこれです。(写真、左に倒れてしまいました。)
b0108483_5404221.jpg

鉛線もピエスも、全部19世紀に作られた当時のものです。
なので、一見すると、鉛線もガラスも汚くくすんで、どこが修復だ、と怒られそうですが、これが我々の意図したところ。この教会を管理する役場との取り決めで、「ロゾンジュはすべて当時のものを用いる」「ロゾンジュにするピエスが足りなくなった窓は、創作パネルをはめる」ということになっているのです。
今回は、その創作パネルをはめる作業と、さらに、私の担当のロゾンジュの周囲をもう一度石灰で塗り固めるという作業です。
ということで、半日、私は壁塗り職人、左官でした。これまた、ツボをついて、はまるんです。
窓の右側は左手で塗り、左側は右手で、と塗っているうちに、気がついたら結局左側も左手でした。
左利き決定。

さて、アトリエへ戻ったのが14時、アトリエの台所で急いで昼食を摂り、その後は4枚の個人所有パネルのうちの二枚の、割れたピエスをデピケ。

さて、今日から、高等美術工芸学校(ECOLE SUPERIEURE DES METIERS D'ART エコール・スュペリュール・デ・メチエ・ダール)からやってきた研修生(STAGIAIRE スタジエール)一人も一緒です。

この研修生は、すでに大学院で美術史(HISTOIRE D'ART イストワール・ダール)の修士号 (MAITRISE メトリーズ) の取得後、さらにメチエ・ダールへステンドグラスを学ぶために入学し直して、三年間のうちの2年目が終わるところ。このメチエ・ダールでは創作が主なため、教育の一環として保存・修復の世界も知るために、学年の終わりの今の季節に毎年、こうして国内の修復専門アトリエに短期修行に出るのだそうです。

フランスでは、こういった研修制度(STAGE スタージュ)や、見習い制度(APPRENTISSAGE アプロンティサージュ)がしっかり残っています。しかも、修行中の支出は一般に、自分の食費だけです。
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by jaimeleschiens | 2006-06-19 22:54 | 平日