美術修復修行中。


by jaimeleschiens
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パネル固定の金属/コパー・フォイル他

今日は、まず朝一番に、今まで絵付けをしていたパネルに補強棒(ウ゛ェルジェット VERGETTE)をくくりつける作業。

前に載せたシャルトル大聖堂の窓の裏側の写真で、複数の細い金属棒やくさびや金属板がくっついているのが見えると思います。この細い金属棒が「ウ゛ェルジェット」、くさびを「クラウ゛ェット CLAVETTE」、クラウ゛ェットのついた金属板を「フォイヤール FEUILLARD」といい、また、この写真からは見えませんが、もともと窓には、各パネルの大きさに合わせて金属の骨組みがなされていて、これを「バルロチエール BARLOTIERE」といいます。バルロチエールとフォイヤールは必ず対になっていて、この両者でパネルを挟み、クラウ゛ェットで留めて固定します。
フランスでは、どんなに小さい教会でも、窓はほぼこの形式です。

ウ゛ェルジェットはパネル一枚につき普通は数本つけますが、その前にまず、8〜10cmに切った銅線をハンダで必要箇所に留めて(attache アタッシュといいます)、そこにウ゛ェルジェットを置いて、このアタッシュでしっかりくくりつけます。

これは慣れればなんてことない作業なのですが、私は、前にほんの数回やったきり半年振り以上の作業だったので、今回は思いのほか時間がかかってしまいました。

これが終わったあとは、この県内のある教会のパネルの修復作業に移りました。
このパネルは、聖ヒエロニムスが描かれているのですが、オリジナルの絵付けの損傷が激しくて輪郭しか残っていないため、今回は、修復が必要な箇所の複製を作って、その複製ピエスにコパーフォイルを巻き、それをオリジナルの上に数カ所をハンダで点止めして被せてしまうという方法をとっています。これを「doublageドゥブラージュ」と呼びます。普段は行わないやり方ですが、たまにこういうパネルを見かける時があります。

また、コパー・フォイルをガラスに巻き付けてハンダゴテをするというやり方は、日本ではすっかりお馴染みの「ティファニー」そのものですが、フランスでもこれを「ティファニー」、動詞では「ティファニゼ tiffaniser」と呼び、修復作業で重要な要素のひとつとなっています。

現在、モニュモン・イストリックのステンドグラスに関しては、割れたガラス片の修復に、一応次のような決まりがあります。

割れたガラス片同士が、もともとオリジナルの一枚のピエスで、割れたときのまま、何も加工されていない状態
 → 割れ目をエポキシ樹脂でコラージュ(collage 張り付け)。

割れたガラス片同士が、もともとオリジナルの一枚のピエスで、割れ目の一方または双方が、部分的に削られたりカットされたりと、何かしら加工されている。つまり、過去、すでに修復が施されている。
 → 割れ目で加工されていない部分をティファニー

割れたガラス片同士の片方はオリジナルだが、もう片方はまったく別のガラスが組まれている。つまり、過去、すでに修復が施されている。
 → ガラス片同士をできるだけ幅の小さい鉛線でつなげる。

これは、審美的意味のほかに、保存・修復の観点で、後世にパネルの修復状態を伝えるという重要な意味も含まれています。

今回、複製ピエスはすでに職人さんの手によって作られていて、私がするのはただティファニゼだけですが、日本人はコパーフォイルを巻くのが上手いと思われているようで、よく「ティファニゼよろしく♪」と頼まれます。実際、コパーフォイルを巻く作業は好きです。
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by jaimeleschiens | 2006-06-12 22:06 | 平日